J-WAVE（81.3FM)『hummingbird SERENDIPITY CONNECTION』

人と人との出会いで可能性が広がる。そんな化学反応に注目。
誰もが笑顔になる社会、そして未来を目指す様々なトピックスを毎週日曜日、放送中。

2025年11月30日放送

「NPO法人日本プール利用推進協会」

今回ご紹介するのは、“生活のあらゆる重力からの解放、生きている時間を豊かにする”というビジョンを掲げて活動する「NPO法人日本プール利用推進協会」。代表の山本彩海さんにお話を伺いました。

高校時代、バタフライの選手として水と向き合ってきた山本さん。卒業後はフィットネスクラブでインストラクターとして多くの方にレッスンを届ける中で、「プールはもっと、いろいろな人の“できる”を支えられる場所なのでは」と、その可能性を探るようになったといいます。
転機となったのは、障がいのある方が利用する施設でのレッスンの場面でした。顔を水面に出したまま行うウォーキングのようなアクアビクスの時間、水の中では、車いすが必要な人もそうでない人も見分けがつかないほど、みんなが自由に立ち、歩き、動いていました。その光景に山本さんは衝撃を受けました。「自分がよく知っているはずのプールが、“難しい”とあきらめていたことを可能にする場所になる」、その気づきがきっかけとなり、2021年9月に「NPO法人日本プール利用推進協会」を設立。現在は約10名のメンバーを中心に、“できない”を“できる”に変えるための研究・活動、そして社会への提言を行っています。

活動のひとつが、「アモーレリフティング」。家族や恋人、友人など大切な人をプールでそっと持ち上げ、その瞬間を写真に残すプログラムです。ウェブサイトに掲載されている体験談の中には、足首に障がいのあるお父さんが中学生になったお子さんと参加した際、「小さい頃は落としてしまうのが怖くて抱きかかえることができなかった。でも、ここで叶いました」という言葉もあり、胸に残りました。

プールというと「壁から壁まで泳ぐ場所」と思われがちですが、泳げなくても、水中にいることで得られる身体的・精神的なメリットはたくさんあると山本さんは話します。誰もが自分のペースで体を動かし、楽しめる場所。気持ちがざわつく日でも、水に入るだけでふっと落ち着くことがある——そんな声もあるそうです。寒い季節は少し躊躇してしまいますが、冬こそ代謝が上がり、体が温まりやすいのも水中運動の良さなのだとか。

水の中でほどけていくのは、体だけではなく、日常の思い込みや境界線なのかもしれません。プールで生まれる小さな「できた」の積み重ねが、誰かの背中をそっと押し、家族へ、仲間へ、地域へと広がり、やさしい社会の輪をつくっていく。——そんな未来を想像しました。
そのやさしい社会の輪が、明日を少しだけ軽くしてくれますように。

ご興味のある方は是非、「NPO法人日本プール利用推進協会」のWebサイトをチェックしてみてください。

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