「株式会社たなべたたらの里」様を訪問しました
島根県雲南市で進められている「たたらの里づくりプロジェクト」を視察するため、「株式会社たなべたたらの里」様を訪問しました。
「たたらの里づくりプロジェクト」は、山から海へと流れる水のように、自然・文化・人の営みの循環を大切にしながら、里山の豊かさを未来へつなぐ取り組みです。古くからたたら製鉄で栄えたこの地を舞台に、自然を守り育て、匠の技や地域の食、文化を次世代へ継承し、人と里山がともに豊かになる未来づくりを目指しています。
最初に訪れたのは「菅谷たたら山内」です。
たたら製鉄は1400年以上前から続く日本古来の製鉄法で、かつて日本の鉄づくりの多くを担い、人々の暮らしを支えてきました。
「山内(さんない)」とは、たたら製鉄の施設と、そこで働く人々の住居が一体となった集落のことを指します。「菅谷たたら山内」はこの形態がよく残されており、国の重要有形民俗文化財に指定されています。
全国で唯一現存する「菅谷高殿」は、たたら製鉄の炉を備えた建物です。中心的な施設として約170年間稼働し、この地の製鉄の歴史を今に伝えています。
高殿の内部や周辺の集落からは、豊かな森林資源と砂鉄に恵まれたこの地で、長く製鉄が営まれてきた歴史と人々の暮らしの面影を感じることができました。
続いて見学したのは「田部家土蔵群」です。
良質な砂鉄、燃料となる木材を生み出す山林、そして砂鉄採取に欠かせない水。こうした自然資源を活かし、たたら製鉄を一大産業として発展させてきたのが田部家でした。田部家の屋敷や土蔵群からは、吉田の町がかつて「企業城下町」として栄えていた歴史を感じることができます。
かつて吉田の町には1万人以上の人々が暮らし、多くがたたらに関わる仕事に従事していました。しかし、大正期にたたら製鉄が途絶えて以降、人口は最盛期の10分の1ほどまで減少しています。
こうした背景のなか、「たたらの里づくりプロジェクト」では山の再生にも取り組んでいます。
里山にかつての循環型の暮らしと生態系が戻れば、山の栄養は川を通じて里へ、そして海へと運ばれていきます。自然の循環を取り戻すことが、地域全体の再生にもつながるという考えのもと、さまざまな挑戦を続けています。
今回の訪問を通して、地域に残る歴史や文化は「過去」ではなく、「未来」をつくる大切な資源であることを改めて感じました。
長い年月をかけて受け継がれてきた自然や文化を守りながら、次の世代へつないでいこうとする取り組みに深く心を動かされました。
私たちNPO法人ハミングバードも、この出会いを大切にしながら、共に考え、共に行動する仲間とのつながりを広げ、未来へ続く取り組みを一つひとつ積み重ねていきたいと思います。
株式会社たなべたたらの里
株式会社たなべたたらの里は、たたら製鉄で栄えた島根県松江市と雲南市を拠点としています。560年の歴史文化と豊かな自然を守りながら、新たな価値の創出に取り組んでいます。たたら吹きによる製品づくりをはじめ、特産事業や森林保全などさまざまな事業を通して「たたらの里」の魅力を発信しています。
https://tanabetataranosato.com/